「ずっとひとりぼっちで、すごく怖かったの…。スゥおうちにかえりたい」

「っ…もう一人にしないって約束する! パパもまた一緒に探そう」

「……ほんと?」

「もちろん! それに俺、スズランの事守るって誓ったじゃあないか…」


 ライアの力強い腕に抱きしめられた。スズランは腕の中で小さく身動ぎながらもライアを見上げて微笑むのだった───。




 突如、か細い高音が耳を劈く。
 まるでこの幸福な空間(とき)(ひび)を入れる様に次第と大きくなっていくそれに不快感を覚える。

「……っ…ん…、っ痛…。なに、これ……」

 吐き気を催す程に酷い頭痛と耳鳴りで、再び意識が浮上する。あまりの痛みに直前まで見ていた〝夢〟の内容は霞を散らす様に薄れていってしまった。
 気づけば喉もからからに乾いており、声すら上手く出せない。

「っ…はあぁー。やっと目、覚ましたな……」

 突然自分のものではない声が耳に届く。
 部屋の照明の眩しさに瞳をこらす。ベッドに椅子を横付けにして座っている人物を見上げると心配気に「よかった」とまた溜息混じりで呟いた。

「……セィ、シェル…」

「ったく。今親父呼んでくるから。待ってろ…」