「……あなただれ?」

 声をかけると振り向きざまに心底驚いた様な顔で見下ろされた。

「スズラン!??」

「…? あなた、なんでスゥのおなまえ知ってるの?」

「っ…俺だよ……ライア!」

「…らいあ…?」

「そう。俺のこと覚えて、ない?」

 スズランの知っている〝その人物〟はもう少し背丈が低かった筈だと、目の前にいる青年の瞳を覗き込む。その美しい瞳の色は間違いなく本人のものだった。

「もしかして……ライアお兄ちゃん?」

「そうだよ! 一緒に君のパパを探すって約束した…」

「っ…ほんとうだ、ライアお兄ちゃんだ! きてくれたの?」

「ああ。遅くなってごめんな」

 ライアはそう言って小さく笑顔を見せてくれた。もう会えないと思っていたので嬉しくなってスズランもつられて微笑んだ。

「ううん! またあえてうれしい!! ずっと待ってて良かった…」

「ずっと、此処で待ってたのか? 俺の事」

「うん! そうなの…! でも、ライアお兄ちゃん何だかおっきくなったね! 何でかな?」

「ええっと、それは…」

 不思議に思い尋ねるが、もはやそんな事すら気にならない程に嬉しさでいっぱいになり「まぁいいや」と話題を変えた。