とうとう眠れなかったスズランは、徐々に明るく白んでゆく空を窓から見つめていた。
強く吹いていた風はおさまったのか、いつもと変わらない朝がやって来る。仕方なくベッドから起き上がると、くらりと目眩を覚えた。
最近ずっと眠りが浅く昨夜は一睡もしていないのだから当たり前だろう。それでも仕事を疎かにしたくない一心で気力を振り絞る。
「お仕事終わらせて早く森に行かなきゃ。今日こそ警備さんに会えるといいな…」
幸いにも昨晩の風で巻き上げられたのか落ち葉はそれ程多くなく、裏庭の掃き掃除は簡単に済んだ。店内も大した乱れはなく何時もより少ない時間で清掃出来た。寝不足で本調子ではないスズランにはありがたい。とにかくセィシェルやマスターが起き出す前、いや。午後一番の鐘がなる前には森に行きたかった。
スズランは昼食を軽めに済ますと警備員から借りたマントを胸に抱きしめて森の奥をを目指す。昨晩とは違い、穏やかにそよぐ風に胸を撫で下ろした。高く昇った太陽の光が森の葉の隙間を通って地面にきらきらと木漏れ日を作る。
「……きれい」
ぽつりと呟いたスズランの言葉は、静かな森のざわめきに溶け込んだ。が、次の瞬間頭上の枝が大きく葉音を鳴らした。
強く吹いていた風はおさまったのか、いつもと変わらない朝がやって来る。仕方なくベッドから起き上がると、くらりと目眩を覚えた。
最近ずっと眠りが浅く昨夜は一睡もしていないのだから当たり前だろう。それでも仕事を疎かにしたくない一心で気力を振り絞る。
「お仕事終わらせて早く森に行かなきゃ。今日こそ警備さんに会えるといいな…」
幸いにも昨晩の風で巻き上げられたのか落ち葉はそれ程多くなく、裏庭の掃き掃除は簡単に済んだ。店内も大した乱れはなく何時もより少ない時間で清掃出来た。寝不足で本調子ではないスズランにはありがたい。とにかくセィシェルやマスターが起き出す前、いや。午後一番の鐘がなる前には森に行きたかった。
スズランは昼食を軽めに済ますと警備員から借りたマントを胸に抱きしめて森の奥をを目指す。昨晩とは違い、穏やかにそよぐ風に胸を撫で下ろした。高く昇った太陽の光が森の葉の隙間を通って地面にきらきらと木漏れ日を作る。
「……きれい」
ぽつりと呟いたスズランの言葉は、静かな森のざわめきに溶け込んだ。が、次の瞬間頭上の枝が大きく葉音を鳴らした。