そんな回答しか出来ずにいると意味深な眼差しを向けられて不思議な気持ちになった。その瑠璃色(るりいろ)の瞳に映る自分はどんな風に思われているのだろう。
 年下で、まだまだ子供で。その癖冷たく無視をする様な、生意気な奴……。そんな自分を客観視してスズランは落ち込んだ。これではライアでなくとも嫌われる要素はたっぷりだ。
 更にライアに助けられるのはこれで二度目。個人的な感情を抜きしてもライアに対してもっと向き合い、然るべく礼を述べるべきだ───そう思った矢先。

「もっと色々警戒しろって事だよ。お前無防備すぎ」

「……警戒?」

 何故か説教口調のライア。一瞬セィシェルに怒られている様な気分になった。過保護なユージーンやセィシェルはまだ分かるが、まさかライアにまで説教されるとは。
 しかしその眼差しの中に、僅かな優しさを見出してしまった。正直、そんな風に見つめられると戸惑ってしまう。

「……スズラン」

 小さく囁かれどきりとする。
 名を呼んだきりライアは切なそうに眉根を寄せた。

「…?」

「……お前さ、見てて本当危なっかしいって言うか、毎回助ける方の身にもなれよな。まったく、子供(ガキ)のおもりなんて勘弁だ」