「あ、はい!」

「おい、ジュリ。そろそろ」

「ああ、戻るか。リーナの土産も買ったしな! ……それとさっきの二人組、あれ旧市街の奴らだ。最近は城下の街に出てきては小さな揉め事を色々起こしてると報告が入ってる。俺もたまに巡警当番の時見かけるようになったから注意してる」

「……そうか」

「非番でもさっき捕まえときゃよかったか?」

 ライアとジュリアンの二人は何やら難しい顔で話し合っている。警備隊のジュリアンと一緒に居ると言うことは、ライアも警備隊の人間になるのか。ではやはりあの警備員の正体は……。
 スズランは瞳の色を確かめるべく、ライアの顔を覗き込んだ。互いの視線が軽く交わる。

「ねぇ。……ライアも警備隊の人なの?」

 スズランは意を決して質問を投げかけた。僅かな期待も込めて───。

「いや、違う。俺は……警備隊ではない」

 先に視線を外したのはライアだ。
 妙な間の後、否定の言葉が帰ってくる。当たり前と言えば当たり前だ。もし仮にライアがあの警備員だとしたら何故それを黙っているのだろうか。考えを巡らせたがこれと言った理由が見当たらない。
 やはり例の警備員とライアが同一人物と言うのには無理があると思った。