「俺たちもスズの笑顔が大好きなんだ。この南瓜(かぼちゃ)の包み焼きはスズにとってこの一年が素敵な年になるようにって願いを込めて作ったんだよ、なあ？　セィシェル」

「ほんとう？　セィシェルありがとう！　とっても嬉しい」

　セィシェルは右手を首の後ろに回して居心地悪そうにしてはいるがそれが彼の照れている時の癖だというのは知っている。

「スズはそうやっていつも笑ってろよな…。最近元気ねぇからさ。親父だって心配してるんだからな」

「そうだね、俺も心配だな。何かあったらなんでも相談に乗るからね」

「そんな、、わたし元気だよ？　でもありがとう…」

　最近の浮かない気分を見透かされて二人に心配をかけていたとは……。個人的な感情でこれ以上周りに迷惑かけない様にと自らの行動を反省した。

　いつもは一人で取る朝食。この日は久々に三人で食卓を囲む事が出来、スズランの特別な日にはこの上ない贈り物となった。

「さて、俺はこのまま仕込みに入るとするよ」

「……おう。じゃあ俺はこれから買い出しだから。スズは今日くらい午前の仕事休んでゆっくりしろよな」

「買い出し？　買い出しって商店街に行くの？」

「まあな…」

「わたしも行きたい！！」