次の日、私は遅刻した。
南の看病の後、すぐにバイト先に行って帰ったら家事をして……。

疲れて寝て起きたら8時10分。



完全に遅刻っっっ!!!


あ〜!!麻衣子からLINEきてるし!!


急がなくちゃ!!!







玄関まで来たところでどっと疲れが…。
1時間に二本しか走らないバスにも遅れて、仕方なく自転車で全速力で走ったんだ…!!!
おかげで20分で着くことが出来た!!
自転車とか久しぶりに乗ったからコケそうになったし!!いや、コケて膝擦りむいたけど!!


って、こんだけ頑張っても遅刻は遅刻なんですけどね…。


「りーちゃんっ」

「…っ!南!?」

外靴からスリッパに履き替えた時、横から声がしたと思ったら南が同じくスリッパに履き替えていた。

「珍しいね、りっちゃんが遅刻なんて」

「ね、寝坊しちゃって…」

「わお、りっちゃんでも寝坊したりするんだー」

「なっ!何よそれ!」

私をなんだと思ってるのか…。

「…で?あんたも遅刻してんじゃん。寝坊?」

「またまたー!俺、病み上がりだよ?」

そうだった!!!昨日熱出したんだっけ。…看病したのに何忘れてんの私!!


「大丈夫なの?まだ休んだ方が…」

「んーん、平気。学校来たかったし」

「あんたはいつからそんな真面目になったんだ」

「元からだよ?」

何"当然だよ?"みたいな顔してんだよ。授業もまともに受けない男が!!


「それに、りっちゃんに会いたかったし」

「……」

「……」

「……」

「…何か言ってよー」

「タラシが」

すらっと言われて固まってしまったよ。
顔赤くないよね?大丈夫だよね?

大丈夫、冷静に。無だ。無。

そうだ、こんな事は誰にだって言う。だって南だもん。

女の子が喜ぶような事を南は知ってる。だから今だって…


「…からかうの、やめて」

「からかってないよ。本当の事だよ」



何でそんな真剣な目をするの…?