また沈黙。
静まりかえる学校。

緊張に耐えきれず、あたしは手を隠すようにカーディガンの袖を引っ張った。

自分で言ったのに、自分で言ったとは考えられないような言葉が、頭の中でエコーがかかって聞こえる。

高橋くんの口が開いた。

「気持ちは嬉しいけど…
俺、今彼女とか作る気ないんよ…今は勉強に専念したくて。
ごめん。」


あたしは笑顔で、
「そうだよね。
分かった、急にごめんね!バイバイ!」
って、明るく振る舞ってみた。

その場から動けず、去っていく高橋くんの後ろ姿を見送った。

あたしの心は何を考えればいいか分からない。涙は出ない。

あたしも帰ろう。

―我ながら上手く演技できてたかな…―