高橋くんは先生と別れ、あたしを見つけて近づいてくる。

顔が見れない。
目が合わせられない。

「あ、おつかれさまー!」
あたしは明るく振る舞って言ってみたものの、やっぱり目は合わせられない。

高橋くんは、いつもの笑顔で
「待たせてごめんねー」
って言ってくれた。

高橋くんに合わせて、足は下駄箱へむかう廊下をゆっくり歩く。
この長い廊下を男子と二人で歩くのは初めてだと思う。

いつも歩き慣れてる廊下。
はるかと歩く時はあっという間なのに。
長ーい長ーい廊下。
どこまでも続く。

長い廊下を歩く中、あたしは自分も前公務員を進路で考えていた事をネタにして話した。
沈黙になったら困るし、話そうと前々から決めていた。

長い廊下には、夕暮れどきで二人の陰も綺麗に映った。