やっさんは目を覚ましたらしく、のりこさんと少し話をした。
のりこさんがやっさんの口元まで耳を近づけるくらいに小さい声で、あたしの所まで話の内容は聞こえなかった。

「優ちゃん、パパが優ちゃんと話したいって」

のりこさんと交代し、あたしはやっさんの手を握った。
やっさんの目はいつものように優しくて、「よく来てくれたね」ってあたしに言っていた。

初めて握るやっさんの手は大きくて暖かくて…
あたしはやっさんの手を握っているのにアキラの事を思いだしてしまった。

やっさんは、途切れ途切れにあたしに話し始めた。