ザワザワする放課後。
みんながドンドン帰っていく。

試験のある教室へむかう高橋くんを発見した宏美が、あたしの所に走ってきた。

あたしは勇気をふりしぼって高橋くんを追いかける。
けど、緊張と不安と何が何だか分からないのでなかなか追いつかない…

「あ、あの!すみません!」

思った以上に大きくでてしまったあたしの声に、高橋くんはビックリして振り返った。
こんな間近で高橋くんと向き合うなんて初めてだ。目の前には高橋くん。
頭ん中が真っ白。

―と、とにかく喋らなきゃ―

「あの、高橋くんってこれから模試なんだよね??模試終わるまで待ってるから話したいんだけど…待っててもいい??」

「2時間くらいかかっちゃうけど大丈夫ならいいよ!んじゃ、後でね」

あたしはただ高橋くんの後ろ姿をただ眺めた。
高橋くんがどんな表情をしてたのかすら覚えてない。