「ご家族の方、中に入られてください」

看護婦さんが言う。
あたしはアキラのお兄さんを呼びに行き、3人でやっさんのいる部屋に入る。

一番最後に入って、ドアを後ろ向きで閉める。なんだか振り返りたくない。

久しぶりに見るやっさんは、ここ何ヵ月かでだいぶ痩せてしまっていた。

周りには看護婦さんと先生が何人かいて、やっさんは呼吸器を口に付け、手と足には何本か点滴がされていた。

「あなた…」
と手を握りながらやっさんに声をかけるのりこさんの横顔があまりにも悲しくて、あたしの目にはすぐ涙がたまってしまった。