あたしは普段嫌な事があっても顔に出さない。
でも、あたしのテンションが明らかに落ちているのをアキラも気づいてるみたいだった。

「あたしそろそろ帰ろうかな」

アキラはやっぱりチャリで送ってくれた。

―このチャリでアキラの後ろに乗るのも、これが最後かもしれないな―

会話はほとんどない。
話しかけられてもいい返事ができない。

駅に着きバイバイした。

いつもだったらあっちが見えなくなるまで見送るけど、あたしは振り返りもせずにツカツカ歩いた。

駅前に出て、携帯を手にとり由衣に電話していた。
涙が出てくる。

「由衣、あたしダメみたい…」
「どうしたの?え、もしかして泣いてる?」

由衣はどこかの高校の文化祭に行ってて、周りはガヤガヤしていた。
由衣に全部話した。

「でも、アキラ君本人に確かめてみないと何とも言えないよね?
そんなに落ちこまないで!」

文化祭で楽しんでるのをお邪魔するのも悪いから、あたしは早めに電話を切った。
由衣は遊んでるのに小まめにメールをくれた。