……あ、そういえば。
体育倉庫の扉、蹴破っちゃったんだった。
ここで弘也に助けられたことにしちゃえば、私は叱られない。
それなら、弘也に罪をかぶせよう。
「そうだね、弘也が駆けつけてくれたから助かったんだ!ありがとね弘也」
「やっとわかった~?」
「感謝ついでに、体育倉庫の扉を壊したこと、先生に報告しておいて」
「は?」
「ついでのついでに、先生に説教されといて」
よろしく、と弘也の肩をポンと叩けば、すぐに私の手を振り払われた。
痛いな。力いっぱい払うなや。私、華奢な女の子だよ?手加減しろ。
「やっぱ、助けてなかった」
「態度変わんの早いな!」
順応能力高すぎだろ。
さすが、喧嘩が終わってすぐ師匠を総長にスカウトしただけはある。
「あはは、勘違いしてたよ~」
「私の代わりに怒られてよ」
「嫌だよー。なんで僕が怒られなきゃいけないんだよー。理不尽だ!」
ここで正論かますなよ。ムカつくな。