だったら、唄子ちゃんが満足するまで、思う存分やればいい。


何度も何度も、唄子ちゃんなりの喧嘩を私に売ればいい。



弘也が唄子ちゃんの元に戻ってくるまで。弘也と私以上に仲良くなれるまで。



唄子ちゃんの想いの強さは身をもって知ってるから、罠を仕掛けられる度に唄子ちゃんからの挑戦だと思って、喜んで受けて立ってあげるよ。


暇つぶし程度にはなるだろうし。



「おかしな、人ですね」


「そう?」


「フツウじゃないです」



唄子ちゃんの笑顔が、かすかに歪む。


褒め言葉として受け取っておこう。




「……行こうか、弘也」


「飲み物買ったー?」


「まだ」


「まだなの!?僕達、めっちゃ待ってたんですけどぉ」


「閉じ込められてたんだから、まだに決まってるでしょ。人をパシッといてわがまま言うな。だったら自分で買えよ」


「自分で買うのめんど~い」