ただ、来るなら早く来いよ、とは思うよ。
今来たのかよ。遅いわ。もう脱出してるわ。
「えーっと……」
慌てながら、ハッとして、倒れた扉を頑張って元に戻した。
「た、助けて~!」
「今やっても遅いだろ」
弘也、ここはのってきてよ。ノリが悪いぞ☆
せっかくまた危機的状況を作ってやったのに。
ふてくされていたら、さっき立てた扉が揺らめきながら倒れてしまった。
微妙な空気が流れ、静まり返る。
私は苦笑しながら、体育倉庫から出た。
いやぁ、外はいいね。太陽が眩しいよ。あは、あはは…………誰か、笑ってよ。この空気辛い。私のせいだけど。
「……お前、謝んないの~?」
弘也が淡々と、唄子ちゃんに言う。
謝るって……全部聞いたのかな。私がなぜ体育倉庫にいたのかを。
唄子ちゃんは私の前に来て、瞳を潤ませた。
「ごめんなさい、幸珀先輩。やっていいことと悪いことがありますよね」
うわあ、あざとーい。