もう何をやっても無駄だってわかったし、最後の手段だ。
扉を蹴破ろう。それしかない。
体育倉庫の扉はボロいから、蹴ったら簡単に壊れそうだ。
小泉パパに怒られるかもしれないけど、ここから一刻も早く脱出して飲み物を買いに行く方が先決だ。お説教ならたっぷり受けてやる。弁償はできない。毎日金欠なんでね。
数回膝を屈伸をして、軽いストレッチをする。
動悸と息を整えて、構える。
よしっ、行くぜ。
素早く、右足を振り上げた。
「おりゃあああっ!」
「幸珀、だいじょ……」
扉を激しく蹴破った刹那、グラついた扉が地面に倒れて景色が開いた先に、たった今ここに駆けつけた弘也と唄子ちゃんがいた。
え?
「……うぶ、みたいだねぇ」
弘也を目の前に、私は驚きのあまり動きを停止させる。
なんでここに弘也が?唄子ちゃんもいるし。証明だっけ?それはどうなったの?助けに来てくれたの?
疑問ばかりが思考回路を巡っていた。