瞬時に、限界まで善兄から離れた。
あとちょっとでキスされちゃいそうだった。そのくらい近かった。危ない危ない、ギリギリセーフ。
「善兄が、私のほっぺをツンツンしてたの?」
「うん。あまりに美味しそうで、つい」
美味しそう!?つい!?
い、意味不明……。この人は何を言ってるの?
あれ?今、私のほっぺの話をしてたんじゃなかったっけ?マシュマロの話に変わったんじゃないよね?
身の危険を感じて、ぶるっと戦慄する。
ツンツンされただけで終わって、よかったのかもしれない。
「幸珀、もっと寝ててもいいんだよ?」
「いいえ、結構です」
善兄の前でなんか寝られるか。
そんなの、腹ペコな熊に命を放り出すのと同じだ。
「どうして、屋上に善兄がいるの?善兄もサボり?」
「今は僕が出なきゃいけない授業はないから、休憩中なんだ」
……本当、かな?
善兄が述べると、いまいち現実味に欠けるんだよなぁ。