この場にいた村人達は、全て只の肉塊と化した。

もしかしたらまだどこかに村人は潜んでいるかもしれない。

だけど精神を崩壊させてしまった彼らとて、本能は残っている。

そしてその本能で感じ取れる筈だ。

村人全員が束になってかかっていっても、1号には決して勝てない。

…それは私達も一緒だった。

村人達を惨殺した1号は、まるで機械仕掛けのような動きで、グリンと首を私達に向ける。

「ウひ…ひヒャ…ヒャは…ヒャはハハは…ひはハハハハハはっ…!」

壊れた笑い声を上げながら、ゆっくりと私達に歩み寄ってくる1号。

「……!」

ゆっくりと後ずさりながら、私と黛さんは息を呑んだ。

どうすればいいのだろう。

戦った所で1号には絶対に敵わない。

でも、逃げられるの?

ここで背を向けた瞬間に、私と黛さんは1号の念動力によって捻り殺されるんじゃないだろうか…。