私達二人と対峙する1号。

そんな私達に向けて。

「そこにいるのは黛と素体773号か!?」

上空を旋回するヘリから、拡声器を通した声が聞こえた。

「久し振りじゃねぇか黛!773号も、まだしぶとく生きてんだな!」

「…チッ」

黛さんが小さく舌打ちする。

黛さんも、あの声の主が誰か知っているようだった。

…機関実行部隊第7分隊隊長、矢崎。

私をこの廃棄場に捨てた男。

そして黛さんにとっては、機関にいた頃の上官だそうだ。

「つくづくお前らとは因縁があるらしいな!」

拡声器を通して、矢崎は言う。

「ここらに黛と3号が潜伏しているっていう情報を聞いて来てみたが、あっさりビンゴだとは思わなかったぜ!わざわざ再調整した1号を輸送した甲斐があったってもんだ!」

再調整…。

私は目の前に立つ黒づくめの女を見た。

再調整といっても、機関の命令に従う程度の理性しか残されていないようだった。

と考えると、調整されたのは主に能力の方。

つまり1号はかつてよりも高い念動力を有している可能性がある。

再調整とは名ばかり。

実際は『覚醒者1号強化型』と考えるのが妥当だろう。