い…
お…い…
みゆ…


「んー…眩しい。」

バシッ

「眩しいじゃねえよ、お前が5限目出てねえから心配したんだぞ」
心配…してくれたんだ。
いつものことなのに。
「まだ寝たい…」
「おい、無防備すぎんだろ。」
「今何時?」
「もう部活始まってるよ。」
そう言われてみれば、魁斗はユニフォームだった。バスケ部エース。
赤と黒のダボッとしたユニフォームを身に纏う魁斗。そういえば、この姿に惚れたんだっけな。
「私、帰ろっと…」
おぼつかない足で立ち上がる。

あ、ああっ!
「…おっと、危ねぇよ。ドジ。
…んで、日曜空いてるか?」
つまづくところだった…
ガシッと掴まれた腕、彼から伝わるシトラスの香り…溺れちゃいそう。
「んごっ、ごめんっ!に、日曜は遊べる!」
ドキドキする…魁斗はこっちに振り向かないことはわかってる。だって、みんなにこういう王子様対応だもん。
「んじゃ、日曜、10時までに準備済ませとけ。ちょっと待ってりゃ一緒に帰んのに。気をつけろよ。」
じゃーな、と手を振りながら、
返事も聞かず部活に戻ってしまった。
日曜、10時…
期待してる自分が恥ずかしい。
高まってる自分が恥ずかしい。
顔、真っ赤だろうな。
魁斗の好きな人、誰だろう。
帰るために、体育館の前を通った…