ふと感じた違和感に気を取られていると。
「キャハハッ」
突然後ろの方から嬉々とした声が聞こえて来て振り向くと、男子中学生が乗った自転車2台が、こちらへ走って来ていた。
飛ばしてんなー、と呆れたのも束の間、俺は自転車の一台が十羽に向かって迫ってきていることに気づいた。
このままじゃ、確実に十羽にぶつかる。
「……っ」
気づけば反射的に十羽の肩を掴み、自分の方へと引き寄せていた。
「わっ」
小さく声をあげる十羽。
次の瞬間、シュンッと風をきって、十羽がさっきいた場所を自転車が通り抜けていった。
まるで十羽のことなど気づいてないかのように、男子中学生たちは馬鹿騒ぎをしながら走り去っていく。