俺の脳裏にも、幼い頃の情景が思い起こされる。
『かえでちゃん、ここどこ?
ぐすっ、怖いよー……』
『とわちゃん、大丈夫。
僕がお家まで連れてってあげるから』
泣き虫で怖がりな幼なじみが、あの日も今も隣にいる。
「あの時も楓くん、こうやって私の手握ってくれてたなぁって」
「俺だって泣きたいってのに、おまえが泣きやまねぇんだもん」
すると、十羽が目を細め笑みをこちらに向けた。
「懐かしいね」
……あれ、十羽って、こんな顔で笑ったっけ。
こんなに、すべてを達観したような大人びた顔で。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…