俺の脳裏にも、幼い頃の情景が思い起こされる。



『かえでちゃん、ここどこ?
ぐすっ、怖いよー……』



『とわちゃん、大丈夫。
僕がお家まで連れてってあげるから』



泣き虫で怖がりな幼なじみが、あの日も今も隣にいる。



「あの時も楓くん、こうやって私の手握ってくれてたなぁって」



「俺だって泣きたいってのに、おまえが泣きやまねぇんだもん」



すると、十羽が目を細め笑みをこちらに向けた。



「懐かしいね」



……あれ、十羽って、こんな顔で笑ったっけ。


こんなに、すべてを達観したような大人びた顔で。