[疾風side]


彼女をバイクの後ろに乗せ


ゆっくり走行させる


彼女を家まで送り


彼女のお母さんに挨拶をしてから

またバイクにまたがって

彼女と別れる


毎週水曜日恒例行事だ


なぜか1週間に1度しか彼女とは会えない


それも全部何も聞いていない


というか俺が小心者だから


聞けない


自分に苛立ちを抑えながら

家の近くの大きい坂道を

エンジンを切り

滑っていく


家の前に誰かがいた。


きっとおかぁさんの友人だろう


それか、近所のおばさんだろう


だんだんと近づいてくる家


そしてだんだんと近づいてくる


お母さんとその横にいる

ジャージ姿の女



家の前でようやく誰なのか気づいた







11年ぶりの




あいつだ