【冬華side】
ガラリ…。
無防備に鍵がかかっていない窓を開けて、慣れた足取りで散らかった部屋に入る。
これをするのは何回めだろう?
もう…散らかりすぎ…
床には『暗殺学校』やら『海賊王』などと言った漫画、服、ゲームが散乱している。
現在、7時30分…。このまま彼を起こさなければ、彼はきっと遅刻する。彼の両親は仕事で朝早く出勤するから、幼馴染みである私が起こしに来る。
「叶ちゃん‼︎起きてっ‼︎」
私が大きな声で叫ぶ。そして、のっそりと起き上がる際に揺れる、寝癖がついた茶色の髪の毛。意外と整っているカオ。
その彼はーーーーー東叶翔(あずまかなと)通称、叶ちゃん、はうらめしそうにこちらを見る。
「冬華…朝っぱらから、デケェ声出すなよ…」
私は、小宮冬華(こみやとうか)今日から高校1年生。
趣味…特になし…特技も特になし…頭の良さも中の中。可もなく不可もない、ごくごく普通の高校生。
第1声それですかい…。
ていうか…私が起こさなきゃほんとに中学の時みたいに遅刻するよ!もう!
そんな風に思いながらも叶ちゃんを布団から、引きずり出す。
これが私たちのいつもの朝…。