あたしっ、こんな杏と和にも言えないぃぃぃーー!!!
「はぁ…」
どうしよう。
ーーー『泣かないで下さい』
ボンッ
思い出すだけで顔が熱くなるのが分かる。
「花、早く食べなさい」
お母さん特製カレーを頬張りながらグズグズ考えていた。
「ねぇお母さん。絶対叶わない恋とかってした事ある?」
「なにあんた今そんな状況なの?」
「何故わかるーーー?!」
「そんな質問してくる時点でそうじゃない。バカね、あんた。
叶わないって、なに、不倫とかやめてよね〜流行りだからって〜」
流行りって。
「違うよ、同級生だけど…あたしなんて眼中にない感じなんだよねー」
「それなら簡単よ、眼中に入るように努力のみ!」
「なにそれぇぇぇ〜…あたしには難易度高すぎだってば〜」
振り向かせれないよ絶対…
「大丈夫よ、当たって砕けてみなさい」
当たって砕けろ…か。
『瀧くん好きっ』
『ごめんなさい。うるさくてバカな一ノ瀬さんに興味ありません』
何て、言われたりして…
言えないぃぃぃーー!無理だよーー!
「なぁお前元気無くね?気持ち悪い」
「気持ち悪いは余計だわ」
さすが、和。あたしの変化に気づくの早すぎだ。
「ってか担任がさ、プリント取りにこいってパシられたんだけどダリー」
クラスメイトの女子が大声で言うもので嫌でも内容が入ってくる。
「瀧、代わりにやってくんない?」
ーーーーwhat?
何ですといまーーーー??!
瀧くんの目の前に立って言う化粧ケバい女子A。
「僕関係ありませんので…」
「は?だって瀧いつも暇そーじゃん。行ってよ」
「先生はあなたに頼んだのであなたが行くべきでは?」
「は?瀧のくせに生意気なんだよ!」
女子Aは瀧くんに怒鳴る。
なにあれ、なにあれなにあれ!!
「…はぁ」
え?瀧くん立ち上がろうとしてる!?
だめっ、違うそんなのっ、
「瀧くんは行かなくていいーーーーっっ!!!!!!!!!!」
あたしは思わず立ち上がって叫んでしまった。
「なにそれいくらなんでも酷すぎる!酷すぎるよ!!瀧くんがなんでもしてくれるなんて思わないで!!!!」
「「「………」」」
あ…やべ。
「あっ、あたしはこうゆうの嫌いだから…言わせてもらいました。」
….何とか信じてもらえ、た?
「フッ、一ノ瀬さんさすがですね。」
「へ?」
「僕が行くわけないじゃないですか」
瀧くんはあたしから女子Aに視線をうつし、
「いつまで子供みたいな事してるんですか?頼まれたなら、行く。誰かに押し付けるなんて子供過ぎますよ」
「な、なによ…っ、」
女子Aは悔しそうな表情を浮かべて、教室を飛び出した。
ひぇーーーぇぇぇ!
瀧くんっ、かっこいいいぃ!!!
「一ノ瀬さんありがとうね」
瀧くんが、突然そう言った。
えっ…
瀧くん今初めてあたしにタメ口で話した、よね?
「ふふ、いいえっ」
「何ですか、僕の真似ですか?」
「当たりですっ」
ニコッと笑った。
「………」
ん?
何かすぐ顔そらされたような……それはそれで悲しい…
フフフ、
瀧くんとの距離がまた縮まった気がして凄く嬉しかった。
そんな、あたし達の姿を和が無表情で見つめているなんて知らなかった。
えっ…と、これは…
「……」
「か、ず?」
簡単に説明します。
只今和に覆いかぶされています。
…遡る事30分前ーー。
「おい、お前ら2人で数学資料室に置いてあるプリントの束持ってきてもらえるか?」
と授業中に頼まれ、あたしと和で行くことになった。
理由は簡単、授業中にお喋りをしていたから。
「まぢ最悪。和がこっち向いて話すからいけないんでしょ」
「はー?全部が俺のせいってかよ、お前もそれに返すからいけないんだろ」
「はい黙れー。もうさっさと取って教室戻ろうクソ暑い」
花粉の季節が終わったらあっという間に夏がやってきた。
資料室に着くまでずっと口喧嘩をしながら歩いた。
「ねー、和これの事だよね?」
机の上にドーーーーンと置いてあるプリントの束。
「一ノ瀬、これなに。宿題?」
「丸ちゃんまぢ鬼」
丸ちゃんとは数学の先生の事あたし達のクラスの担任でもある。
丸山先生だから丸ちゃんいたってふっつーなあだ名。
「おい、一ノ瀬いけるか?」
「ん?こんなの平気ーーーっっと……あ!!!!!!!!!」
「一ノ瀬?!」
持った瞬間足下が滑ってしまい頭から地面に激突する!って思った瞬間、
…あれ、痛くない。
「……」
え、なにこれ。
と、今に至るーーーー。
和が助けてくれたのは分かるんだけど、私の後頭部に和の腕、あたしは仰向けに倒れてしまい、和が床ドンをしている状態。
「…か、和…ごめんっ、ありがと」
すぐどこうとしたが、
「…和?」
和がなかなかあたしの上から退いてくれない。
…え。なになに、どうしたの?
ーーーーガラッ
すると勢いよく資料室の扉が開いた。
え?