「ゆゆゆ悠人くんっ…!」


「ふっ、可愛い、けど…これ以上はマズイので……」



そう言ってベッドから降りた。



あれ…何でだ。

何だかすごく……もっと…




…夜のこの雰囲気のせいだーー。




「ーーーーっ?!」



あたしは悠人くんの腕を引き、自分から悠人くんの唇に唇を重ねていた。




すると、悠人くんも初めはびっくりしていたがあたしに再び強く重ねた。





「好き…悠人くん」


「知ってます。…喋べんないで」













再びあたしをベッドに倒す。


悠人くんの首に腕をまわし、夢中になる。



「好きだよ…」




悠人くんからの甘い言葉に、胸が締め付けられる。





「一ノ瀬さん、もう終わり。

修学旅行中ですよ。これ以上だと止まりそうにありません」


「そそそそ、そうだね…」




急に恥ずかしくなってしまった。



あたしったら…

なに自分からしてるんだよ…恥ずかしすぎて死にそうだ。





「続きはまた今度ね」



悠人くんはそう言ってまたあたしに軽くチュ とキスをした。




「ーーっ?!?!!」





もうだめだ…

あたし、本当に死にそう。
















ーーーガチャ


悠人くんと入れ違いで入ってきた杏。




「よかったね〜
仲直りできたんでしょ?」


「……」


「え、花ーーーーーーっっ?!?!」






……へ?




あたしの肩をぐらんぐらん揺らす。




「大丈夫?花!質問無視すんなって思って振り向いたら…硬直して目線どっかいってるし、顔茹でたタコみたいに赤いし、口あいてるし…」




あたしの事をすごい形相で見る杏。




「あー、杏どうしていなくなってたのーーー?」


「瀧くんと協力して、あたしは違う子の部屋に行ってたんだよ、ってかまぢであんた大丈夫?熱あんじゃない?!」



ピタッ と額に手を当てる杏。




いや…熱なんかない。

いたって平常心だ。



ただ…




「悠人くん…セクシー…だった…」


「……は?」




”続きはまた今度ね”ーー。







「きゃーーーーーーーっっ!!!」



パタパタと両手で自分の顔をうちわのように上下すると同時に両足もバタバタと上下する。




「なになになになに何事?!」













悠人くんって…あんなっ…



最初の頃なんて、


”『僕には関係ありませんので』”


クソがつくくらい真面目でお堅くて暗くて地味な奴って思ってたのに…




”「好きだよ」”ーーー。



oh…GAP…




「ふっ、」



無理、にやける。





「きも」



はっ、


杏がいることをすっかり







思い出すと、ニヤけてしまう。




「杏ごめんっ、
協力してもらってたんだね…!
ありがとうね」


「あ、やっと戻った。…てか、この部屋で何してたのよ、やだやだこの後寝れなーい」


「なっ、なんのことでしょう…」


「花のキモい様子みてたら分かるわよ!相っ当あっまい仲直りだったってことがね!!!!」


「んふふふふふふ…そうなの…ふっ、あの瀧悠人が?!ってなるよ…聞く?」




杏の肩に顎を乗せる。





「瀧くんの…ギャップとやらですか、花さん」


「いぇあ、GAP」


「レアだし聞く」





それから、きゃっきゃっ と女子トークが止まらない夜でした。













修学旅行旅行が終わり、再び学校生活が始まりました。



…と、早速面白い光景が。




「瀧くん〜ははは」


「……」


「やる時はやる男なんだね〜瀧くんって、あたし印象変わっちゃた〜ははは、想像するだけでこっちがニヤける〜」



そう言って、杏が悠人くんの背中をバシッと叩く。




「……何なんですか、杏さん」


「ぶっ、修学旅行のホテルの部屋で…ふふふっ、本当はその真面目キャラ作ってるんじゃないのー?」




杏がそう言うと、悠人くんは眼鏡越しからギロッ と鋭い視線をこちらに向ける。




……わ、やべ。





「……花…」


「わ、呼び捨て♡」


「……そんなに口が軽いとは思いませんでしたよ。」



さらっと無視された。


悠人くんは、そう言って席から立ち上がる。




「わわわー!待って待って!
ごめんなさいごめんなさいっ!でもっ、杏にしか言ってないから!」



てか杏もご本人様目の前に言わなくていいのに…っ!




「図書室行ってきます」




ガーーーーーンン



怒らせてしまった…





「杏…あんなにがっつり分かりやすく言わなくても…」


「ごめん〜、あまりにも瀧くんの反応が面白くて…」




うるうるした瞳で謝る杏が可愛すぎて…
こんなの許すしかないじゃないか…















「待ってよ…悠人くん」




あたしは急いで悠人くんの後を追いかける。




「何ですか」



うっ、怒ってる。



「ごめんなさい…」


「…別にもういいですよ。
その代わり、今週の日曜日空けておいて下さいね」


「えっ?」


「迎えに行きます。10時に」


「えっ、これって…」


「デートです。寝坊しないで下さいよ」




わ、わ、何この…



↓↓からの↑↑これ!!!!





「やったー!楽しみっ、あたし早起きする!どこ行くの?ねぇねぇっ」



廊下で皆んながいるのに、グイグイと悠人くんの腕を揺らす。




「ちょ、皆んな見てますよ。あまり一緒にいない方が」











悠人くんがそんな事を言うもんだから、あたしはより悠人くんにくっつく。




「は、ちょ…花?」


「悠人くんの馬鹿。
変な目で見られるとでも思ってんの?そんな奴らは放っておこうよ。

悠人くんの事何も知らないくせに…」


「……」


「ね?」




周りはあたし達が付き合ってる事は知ってる人はいるけど、ほとんどが知らない人ばかりだ。


廊下ってこともあって、かなりの人からの視線を浴びている。




”え、一ノ瀬って瀧と付き合ってんの?”


”意外なんですけど”




ちらほら聞こえてくる声。





「花、ありがとう」




チラッとあたしを見て ポンッ とあたしの頭を触る悠人くん。


これ…あたしの好きなやつ。



悠人くんは今、周りの声なんて気にしないで誘ってきてくれていてあたしに触れている。









「悠人くん、日曜日楽しみだねっ」


「そうですね」



そんな会話をしながら、結局あたしも付いて図書室に歩いた。





周りなんて気にしない。


悠人くんは、周りからしたら関わりずらくて、暗くて、地味かもしれないけど、



あたしにとっては最高の彼氏なんだーー。

















そして日曜日ーー。






んんん…

なんだか…すっごいおも…い…


重い…



重い…





「んあーーー!!重いーー!」



ずっと何かに包まれててすっごく重くて気持ちよく寝ていたのに起きてしまった。


はぁ…アラームも鳴ってないし、デートまでまだ時間あるのに重いせいで起きちゃったじゃ……



「んんんん?!?!!」





はっっ!!!




「お?やっと起きた」



……。









「ぎゃーーーーーーーーーー!!!」