恥ずかしくてあたふたしていると、


そっとあたしの耳元に口を近づけ…




「今度は口ね」


「……ーーーっっ?!?!!!」



額に両手を押さえ、キャーーーと叫んでる姿を ハハハ と笑いながら見ている瀧くん。











…あたしの心臓は持つのでしょうか?












そして瀧くんと付き合い始めて1週間が経った。


変わった事いえば、




「一ノ瀬さんおはよう」


「お、おはよう瀧くん」



瀧くんが少しずつタメ口で話してくれるようになりました。


まだまだ慣れないみたいでたまに敬語で話してくるんだけどね。




「ちぇっ、朝から見せつけてくれますなー、お2人さん」




和が嫌味ったらしく言う。




「ま、一ノ瀬泣かせたら速攻俺が奪うからな」



なななんてことをっ!

サラッと悠人くんに宣戦布告をする和。



「泣かせないです。

見てみて下さい、一ノ瀬さんは僕にベタ惚れですよ?」



あたしの瀧くんにを見る熱視線がバレタ。




「はーーー、うざいうざい。
邪魔者は消えますよ〜」



和は口をへの字にし、笑いながら違う友達の席に行った。




あと少し変わったと言ったらーー、




「ねぇ本当にあの2人付き合ってるのかなあ?」


「何か意外…一ノ瀬さんが瀧くんと付き合うなんて」




あたし達の様子を見て、教室中の皆んなが見る目が変わったこと。


あたし個人ではそんなだけど、瀧くんといると皆んなからの変な視線を感じる。



…なによ、皆んな瀧くんの事知らないくせに。



眼鏡とったらめちゃめちゃかっこいいんだからね?!


しかもめちゃめちゃ優しくて最高なんだから!!













チャイムが鳴り、皆んな自分の席に着く。


すると先生が入り、

「よーし、今からの時間は修学旅行についてだ。」



先生が言うとクラス中が ドッ と騒がしくなる。



やばい…もうそんな時期か…

あたし達の学校の修学旅行はいつも海外に行く。だいたい台湾。



「今日は、台湾での最終日の自由行動について班で話し合えよー。

どこ回るかなど、書いて先生に渡すように。」




そして席を4人くっつけ、話し合いが始まる。



「ねぇっ杏どこ行く?」


あぁ、もう最高!

この班本当に最高なんだけど!


杏に和に、そして瀧くん。









資料に目を通す瀧くんをジッと見つめる。


はぁ…カッコいい…



「こら花、瀧くんばっか見てないでどこ行くか決めるんでしょ?」



あ、やべ。つい…



「フッ」と笑い「見過ぎ」とツッコむ瀧くん。

…あぁ、幸せ。




「 やっぱさ、買い物したいし遊びたいじゃん?1.2日目なんかどうせ観光でしょ?パーっと遊べ所に行かない?」




そんな杏の意見にあたしも瀧くんも和も賛成した。












「 少し食べ歩きして、西門町で買い物しようか」



杏がしっかりしていて、計画がスムーズに決まっていく。



あっという間にあたし達の班は決まり、余った時間をお喋りして過ごす。




「ねぇ花達ってさ、いつまでお互いの事名字で呼び合ってるの?」



確かに…

あたし達は付き合ってからも、友達の頃のまま名字呼びだ。




「一ノ瀬さん、名前で呼んで欲しい?」


「えっ…待って、この会話ここでしなくちゃいけない?」



なんかニヤニヤしてるこのアホ2人(杏と和)に聞かれるのがとてつもなく恥ずかしい。



「いいのよ〜花、あたし達の事なんか見えてないと思って」


「いや、無理っしょ!」


「なーんだ、

せっかく2人の甘い会話が聞けると思ったのにぃ〜」




なんだそれ。

聞いてどうなるんだ…








そして放課後になり、瀧くんと並んで歩く。



「一ノ瀬さん」


「ん?」


「今からデートしません?」




ズギュンーーッ

瀧くんからのデートのお誘いっ!


これは放課後デートってやつですか?!


坂村くんともしたけど(消したい黒歴史)全然気分が違う。




「したいしたいっ!

どこ行くの?」


「んー、内緒です。
とにかくついてきて」




そう言う瀧くんについてく。


が、

さっきからずーーっとなっがいなっがい道のりを歩くのみ。



「ね、ねぇ…どこに向かってるの?何も見当たらないんだけど」



辺りは木ばっかで シン としてて、少し怖い。



「黙ってついてきて来て下さい」


「なによー…」




少しずつ辺りも暗くなり、本当に怖くなってきた。












「瀧くん…」


キュ と瀧くんの袖を掴む。



「どうしたの?」


「こ、怖い…です。
暗くて街灯も少ないから…ここ、掴んでてもいい?」



さらに掴む力を強める。




「じゃあこうしましょう」



瀧くんはそう言ってあたしの手に自分の手を絡ませる。


ーー恋人繋ぎ



「わっ…瀧くん…」


「離さないでね」



ニコッと微笑む。


……もう無理、心臓破壊して今度こそ一ノ瀬死にそうです。






そして、しばらく歩くとーーー、




「着きました」


「……わぁ、何ここ…」




そこからは、とってもきれいな夜景が広がっていた。




「僕の好きな場所。

昔、母さんと父さんと来たんだ。2人の思い出の場所なんだって。

だから、一ノ瀬さんにも見せたくて。……綺麗でしょう?」


「うん…すごく綺麗…あたし達が住んでる町ってこんなに小さいんだね」




夜景ってあまりちゃんと見たことなかったから、まじまじと見てしまう。




「 僕さ、地味だし…暗くて関わりにくいって周りに言われてて…なのに、一ノ瀬さんは普通に話してくれて。

感謝しているんです。

そして…好きになってくれて」



夜景を見ながら、ゆっくりと話し出す瀧くん。



「 辛くない?

周りに色々言われてるでしょ?」



そう言ってこちらを見る。


あたしも瀧くんの方を見ると、悲しそうな表情をしていた。









あたしはそんな瀧くんの顔を両手でそっと包み込む。




「 辛いわけない。

むしろ幸せだよ…こんなに優しくて不器用だけど、あたしをこうして喜ばせようとしてくれてる。

あたしも感謝でしかないよ」




そしてどちらからともなく、近づくお互いの顔。

そっと あたしの首筋に瀧くんの手が添えられ、ゆっくりと唇を合わせるーー。




「んっ…」



角度が変わりどんどん深みが増す。



「あけて…」



瀧くんはズルい…


こうしてあたしの心をどんどん瀧くん色に染めていく。














「 帰ろっか…」


「う、うん…」



なんか、すごく照れる。


あたしはどうしても手を繋ぎたくて照れながらも瀧くんの手を掴み、繋ぐ。



「…怖いからね」


「素直に繋ぎたいから。
って言えばいいじゃないですか」



ば、バレてる。



「瀧くんは心の声が読めるエスパーなの?」


「フッ、何ですかそれ。
一ノ瀬さんの事なら何でも分かります」


「ほんと?

じゃあ好きな食べ物は?」


「チョコレート」


「誕生日は?」


「10月31日」


「えっ、何で分かるの?
あたし瀧くんに誕生日教えてないよ?」


「悔しいけど和くんに聞いたんです。」




……え、待って。

あたし…瀧くんの誕生日知らないんですけど…

どうしよう。

過ぎてたりして…っ