みんな給湯室で食事中なのかな?
珍しく利用が多いなと足を進めながら首をかしげた。
私も給湯室の冷蔵庫にお茶を入れているから、入室しないとなんだけど。
「……お疲れ様です。」
ひょこりと顔をのぞかせて、給湯室の中を覗いた。
「あ、市田さん。」
「内川くん。」
覗くと、中にいたのは隣の部署の内川くん一人だけ。
人がいっぱいで窮屈だから扉を開けていたのかと思ったけど、なーんだ。
聞くと口にしているアイスコーヒーを喉に流し込むだけ流し込んで、すぐに立ち去る予定だったから扉をあけっぱなしにしていたみたい。
「これからお昼ですか?」
「うん。内川くんは?」
「今水分補給中です。あともうちょっと仕事があるので。」
「そっか。」
ご苦労様です……
「僕の作業スピードが遅いだけですよ。」
自虐ともいえる、笑いながらの彼の返事につられてつい笑ってしまう。
「また飲み行きましょうね、4人で。」
「あぁ、うんそうだね。」
私の返事を聞いて、なお一層内川くんは嬉しそうに表情を緩めた。
「本当飲むの好きなんだね。」
内川くんは長嶋さんと速水さんのこと慕ってるから、彼らと飲むのが楽しくって仕方ないんだろう。
あ、でも……ちょっと待って。
今言った飲みのメンバーは長嶋さんと速水さんと内川くんと、わたし―――それって結構やばくない?
だって、速水さんと私はお付き合いさせていただいているわけで、それは秘密なわけで……。か、隠すのが、というか速水さんは絶対それを利用して私に意地悪してくるだろうし……!
「じゃぁまた落ち着いたら計画立てときますね。」
戸惑っている私に気づかずに、彼はゴミ箱の中へコップを捨てる。
そのまま仕事に戻るのか出口の方へ向かった。