そんな二人を黙らすかのように

「ていうか一色の方が俺はすごいと思ってるけどね。」
 速水さんはそう続けた。 

「本部で一人で頑張っててさ。
お前ひとりでまとめ上げてるようなもんだろ?

凄いよ、本当。
相当信頼されてるんだと思うけどね。」

「はぁ?」
 照れてるのか乱暴な返事をする一色さん。
さっきの態度とは裏腹に、今はちょっと落ち着かない様子でそわそわされてる。

そんな彼女は無視して

「仕事も昔から丁寧だし。
こっちで仕事しててもお前の評判聞くときあるよ。

本当頑張ってるな。」
 なんて言い終えた彼。

「や、やめてよ!」
 一色さんはそういうことしかできないぐらい動揺してるみたいだ。
普段クールでできる彼女がこんな照れてるなんて、私からみても可愛らしい。

一方の速水さんはなんのそのって感じだけど。


速水さんからしたら普通に褒めてるだけなんだろうな。
照れてる一色さんの気持ちすごく分かる。
そんな風に言って貰えれたら、恥ずかしいよね。
なんて言っていいか分からなくなるよね。

速水さんって自分の言葉にどれだけ威力があるか、本当分かってない。




 変な空気が流れる場に、長嶋さんはたまらず

「お前、そういうとこだぞーー!!」
 私の目の前に突っ込みのビールジョッキをぐんと飛び出させた。

「何がだよ。長嶋も思ってることだろ。」

「そうだけど。なぁ一色。」
 同意を求める彼に、「本当昔からかわらないわね」小さくそんな風に彼女がつぶやいた気がした。

それが気のせいだったと思うくらいの大きな声で

「本当よ!やっぱこっちでもモテてるもんねー。」
 彼女は元の調子にその場を戻す。