【 真依side 】
「もう愛音ちゃん!莉緒!!!最悪なんだけど!」
今の私は最高潮にテンションが低い。
「え〜良くない別に?」
「そうだよ、可もなく不可もなくって感じじゃん!!」
いや、2人は分かっていない。
私の今の気持ちを知ってほしい。
春。高2になった私、白石真依。
ワクワクしていたクラス替えは結構よくて。
仲良くしてる愛音ちゃんと莉緒と同じクラスになれたの!
……っと。そこまではいいんだけど…。
「その『可もなく不可もなく』が嫌なの!」
どうして私はこんなに機嫌が悪いのかというと……。
「えー、そんなに嫌?吉田の隣」
「いいじゃん吉田くん!普通で!」
「だから!!その普通が嫌なの!!」
……そう。
新クラス早々席替えをした私たち。
そして私の隣は 吉田 になったわけで。
「もうやだ〜〜学校行きたくないよ私……」
落ち込み度MAX。
だって吉田だよ?吉田。吉田。
みんな分かってない。吉田の隣になる苦痛を。
よし、説明しよう。
吉田。 正式名称、吉田……、なんだっけ。
吉田…………。 ……ああ、那音!
吉田那音。 漢字はかっこいい。
漢字は。ね。
顔は、、。イケメンなわけがない。
だからといってブサイクでもない。
イケメンとブサイクを足して二で割ったような顔。
みんなの言う、「可もなく不可もなく」ってやつ。
性格も、すっごくいいわけじゃない。
だからといって悪いわけでもない。
みんなの言う、「可もなく不可もなく」ってやつ…。
運動神経もずば抜けていいわけじゃない。
だからといって全然出来ないわけじゃない。
そこそこ、できる。 そこそこ、に。
みんなの言う、「可もなく不可もなく」ってやつ。。
うん。
頭もずば抜けていいわけじゃないし、
交友関係が広いわけでもないし、
人気なわけでもない。
全部、そこそこ。 中間。
可もなく不可もなく……。
「……あーっ、もう!パッとしないなほんとに!」
……こんなはずじゃなかった!!
もっとかっこいい人と同じクラスになって、
もっとかっこいい人の隣になって…、
そこから恋に発展!! ……する予定だったのに。
「だから、真依は理想が高すぎるんだって」
「そーだよ、今どきそんな王子様みたいな人いないよ!」
……うっ。
それはそうだけど、私は信じてるの!!
いつか少女漫画みたいな王子様が、
ぜっっったい私を迎えに来てくれる!!
「まあせいぜい吉田ライフ楽しんで」
「じゃあね真依〜〜」
そう言って2人は自分の席につく。
ずるいよ、2人はまあまあかっこいい人の隣なのに!!
なんであえて吉田なの……。