ここに留まるようになってから随分時が経っても、毎日空を見るだけの退屈な日々が終わりなく続いていた。
3年目の春。お昼に窓から見える少し遠くの噴水前のベンチに一人の女の子が来た。
最初は暇つぶしに、ただ何気なく見てだけだった。
一匹の猫が彼女の足に擦り寄ってきて、猫を抱きあげて膝にのせた。彼女と猫は、まるで会話をしているように見えた。
彼女を見ていると、表情がころころ変わって見ていて飽きなかった。
この時は遠すぎて、まさか雪姫ちゃんだとは思ってなかったんだけど。
そしてあの夜、その彼女が図書室に来た。
幻かと思う程、信じられなかったけど、そこには確かに君がいて。
あの時と変わらない君が俺の事を見ていた。
君の声、仕草、笑顔━━━…。
俺は再び、君に惹かれていった。
それが決して叶わない恋だと知っていても。
毎日君に逢えるのが嬉しくて、俺の言った事にいちいち反応してくれるのが可愛くて、好きで好きで仕方なくて。
けれど、ずっとこのままではいられないって事も分かってた。
そして俺が覚悟を決めて君に想いを伝えたら両想いになれた。君が俺を好きだと言ってくれた事が凄く嬉しかった。
「私、優馬君に必ず逢いにいくから…!」
その言葉を聞いて、思い残す事はもう何もないと思った。それはきっとまた逢えるって思えたから。
まぁ、少し寂しくなるけどね。
また会える日まで、またね。
大好きだよ、雪姫…。
いつも俺の中心は君で、君が俺のたった一つの生きていた証━━━…。