私は後ろから回された優馬君の腕に手を添えた。冷たい彼の体からは切なさが伝わってくる。


結構長い時間優馬君に抱き締められていた。
回されていた腕が離れていくと、私は優馬君と向き合う。


「…びっくりしたよね、いきなり…ごめん。」


「ううん…大丈夫。」


笑っている優馬君の目は赤い。
きっと泣いたんだと思う。


「今日も…また来てくれる?」


「うん、優馬君に逢いたいもん。」


「…ははっ。素直で可愛いね、雪姫ちゃんは。」


「えっ…!?」


「あ、照れた。」


「…もう、またからかったの?」


「あはは、雪姫ちゃんが可愛いからいけないんだよ。それより、もう夕飯の時間じゃない?」


「あ……。」


「ほら、早く行きなさーい。」


優馬君は私の肩に手を置くと、くるりと体を反対に向けさせた。


振り向くと、優馬君はもういなかった。
私はしぶしぶ図書室を出て部屋に戻った。