午後10時30分過ぎ。
暗い図書室の中、俺の隣には君がいる。
月明かりに照らされて君の頬に涙が光る。
「ほんと…泣き虫は変わらないね、昔から…。」
俺は君の涙を指で拭う。
「ん……。」
声を上げる君が可愛くて、愛しくて。
俺は昔の君を思い出していた。
俺が小4の時、たまたま見つけた女の子。
酷く怯えてた君に味方だと伝えると、泣きながら抱き着かれた。
この時、この子には俺がいなきゃダメなんだと幼い俺は思った。
それから、俺の家でもある神社によく来るようになった。決まったようにお賽銭箱の前にうずくまっている君を見つけて声をかける。
「雪姫ちゃん。」
「あっ…お兄ちゃんっ…!」
涙でぐしゃぐしゃの顔の君。
「どうしたの?また怖いの見た?」
「ねぇ…私…変なのかな…?」
「どうして? 」
「皆が言うの…お前は変だってっ…。」