ゆっくり目を開くと時計が見える。
午後3時10分。
周りを見渡すとブランコが見える。何処かの公園みたい。
私は丸い空洞の遊具の中で泣いてる。
切ない、悲しいというより、恐怖という感情。
この感情の感覚……覚えがある。
今の私は幼い頃の私だ。
体は幼い頃の私だけど、頭の中は今の…16歳の私。
幼い頃の私は今よりもっと幽霊が怖かった。
でも、どんなに必死に友達や大人に訴えても、逆に気味悪がられて信じてくれなかった。
今はそんなの当たり前だと思えるけど、幼い頃はなんで信じてくれないのって悲しかった。
幽霊の恐怖に怯えながら一人で耐えるしかなかった日々に、ある日光がさした。
薄暗い遊具の中でうずくまっていると、突然暗い影が現れた。
幽霊だと思った私はビクッと肩を震わせる。
その影が幽霊ではなく、人のものだと分かったのは、優しい声が聞こえたから。
「目を開けて大丈夫だよ。」
そこには、知らない男の子が私をのぞき込んだいた。少し年上の彼は話し掛けてくる。
「君、名前は?」
聞かれても私は何も答えなかった。
だって、どうせ信じてくれないと思ったから。