「きゃっ…!」
優馬君はすぐに私の隣に横になり、私を抱き締める。けれど、優馬君が横になっている所はソファーを半分以上はみ出している。
「って…え!?優馬君、体浮いてるっ!!」
「雪姫ちゃん、静かに。俺は幽霊なんだから当たり前でしょ。」
「そ、そういうもんなの…?」
私はなぜだか、すんなりと現実を受け入れる。
「そうだよ。それより君、自分が寝不足って事忘れたの?」
「忘れてないよ。…なんか優馬君、お母さんみたい。」
「雪姫ちゃんのお母さんはこんな感じなの?」
「えっと…私は…良く分からない…かな。物心ついた時には、幽霊が見えるって気味悪がられてたから、一人だった事しか覚えてないの…。」
昔の事を思い出すと胸がちくん、と痛くなる。
今でも涙が出るくらいに…。
「よしよし…泣かないの。俺が抱き締めてあげるから、安心してもう寝なさい。」
「うん……。」
頭を優しく撫でる優馬君。
私は自然とウトウトし始める。
「雪姫ちゃんともっと早くこうなりたかったよ━━━…。」
微かに聞こえた優馬君の声は小さすぎて何を言ってるのか分からなかったけど、何故か懐かしい人を思い出させた。
それは、とても懐かしく、温かく…
そして、とても切ない私の記憶━━━…。
私は、切ない気持ちのまま眠りについた。