雪姫ちゃんが図書室を出た後。
俺は空を見ながら考えていた。
未練は二つとも消したはずなのに、何故俺はまだ消えないのか。
“本当は言い出せなかったんだよ。”
“今、君に言ったらほんとに終わっちゃうからね。まだ秘密。”
なんて言ったけど、実は俺自身もはっきりとした理由を分かっていなかった。
でも、思い当たる節はある。
それはあの日。
『ずっと好きな子がいるんだ。その子はね、君なんだ。』
俺がそう言ったら、雪姫ちゃんは…
『その子が羨ましい。』
そう言った。
もしかしたらあの時、雪姫ちゃんは最後の台詞を聞いていなかったんじゃないかと思う。
それなら、まだ消えない理由の説明がつく。
まぁ、羨ましいの意味が分からないけど。