「ふっ…あっはははっ!なにそれ…!」
「え、なに?なんで優馬君笑ってるの?」
「だって、雪姫ちゃん、はしゃぎすぎ!俺より楽しみにしてるじゃん!」
優馬君はケラケラと笑いながら喋る。
「それにそのサングラス!雪姫ちゃん似合わないよ、…あははっ!」
「だって、これつけないと見れないんでしょ?そんなに笑わないでよ……。」
「ごめん、ごめん…あ!金環日食始まったみたいだよ。」
薄暗い空に目を向けると、光り輝くリングを見つけた。
「わぁ…すごく綺麗…。」
胸の奥がキュンと切なくなる。
初めて見た綺麗な光の輪は細くて儚く見えた。
今にも消えてしまいそうで。
「ほんとに綺麗だね…。」
呟く声に隣をちらっと見ると、優馬君はリングに目を奪われているみたいだった。
私は視線を元に戻す。それからは二人とも無言で光るリングを見つめていた。
金環日食を見始めてから4、5分経つと、リングは消えて元の空に戻ってしまった。