でも、言葉には出来なかった。
優馬君の言葉がすごく嬉しかったから。
「私も優馬君の事…考えてた…。」
「本当なら嬉しいな。…仲直りしよっか。」
「うん。」
もう、誰を好きとか嫌いとか。
そんなのは、どうでもいい。
優馬君のそばにいたい…最後の時までずっと。
「あ…そろそろじゃない?」
優馬君が空を見ながら言う。
時計は午後5時の10分前をさしていた。
「あっ!ほんとだ!」
私は全てのドアに鍵をかけ、クローズという文字の札をかけるとカーテンを引く。
「え、ゆ、雪姫ちゃん…?なんで鍵とカーテン閉めてるの?」
「だって、誰にも邪魔されたくないもん。」
再び優馬君の隣へ戻ると、買ってきたサングラスをかける。
「よし、完璧!ねぇ、優馬君、金環日食まだかな?」
実はすごく楽しみにしていた金環日食。
気持ちをとりあえず整理した今、金環日食の事しか頭になかった。