そこにはやっぱり優馬君はいないけど。
代わりに大切な思い出で溢れていた。


優馬君の事がすごく好きで、大好きで。
忘れる事なんて到底出来ないけど、少しずつ前へ進んで行こう。


私は心の中の引き出しにしまっていた優馬君との思い出を開ける。


たまにはこうして思い出してもいいよね?


私は優馬君がいつもいた机に座り、窓の外の空を眺める。


夜空には沢山の星が輝いている。
その中に北斗七星を見つけて、優馬君の言葉を思い出す。


『ほら、見てみて。あそこに北斗七星あるの分かる?』


『北斗七星の下に明るい星が3つあるでしょ?それを線で結んだ三角形を春の大三角って言うんだ。』


優馬君は分かりやすく教えてくれたおかげで 、今では自分でも見つけられる。


「優馬君、春の大三角見つけたよ…。」


優馬君は私に沢山の言葉をくれた。
それは私を幸せにしてくれる魔法の言葉。


私の冷めた心を温めてくれた。
ずっとずっと忘れないよ。


私にとって大切な君の言葉だから━━…。


高校1年生の春。
私が好きになった人は幽霊でした。