二次会はカラオケで、歌って踊って盛り上がった。
カラオケ店を出ると十二時を回っていた。
「雨宮さん、どうやって帰ります?」
神野が聞いた。
「私、歩いても十分位なので歩いて帰ります」
「こんな時間に一人は危ないですから、先輩送ってあげて下さい。僕達はタクシーで帰るんで。それじゃあ、おやすみ」
神野もかなり酔っている。
「凄く楽しかったね。又、飲みましょうよ。おやすみなさい」
美也もフラフラと神谷と帰って行った。
「家はどちらですか?」
僕は彼女に聞いた。
「西町の、ドラッグストアーの横のアパートです」
「えっ。一人暮らし?」
「はい!」
彼女はゆっくりと歩き出した。
歩道の縁石の上を歩いたり、手を広げたり、フラフラしている。
目の前に自動販売機が見えた。
「何か飲みますか?」
「はい!」
彼女はフラフラとベンチに座った。
「何がいいですか? 買ってきます」
「ホットコーヒーで…… すみません」
彼女の言葉に、僕は自動販売機へと向かった。
缶コーヒーを二本買うと、ベンチに座っている彼女に目を向けると、彼女は遠くを見つめ、悲しそう目をしていた。
僕は彼女の横に座ると、コーヒーを差し出した。
「女の子が、こんなに飲んでフラフラしていちゃだめですよ……」
「すみません…… ご迷惑かけて」
彼女は謝った。
「そうじゃないんです。そんなに飲んで歩いていたら、悪い人に連れて行かれちゃうと思って心配したんです……」 僕は慌てて言った。
「…………。」
彼女は僕と反対の方を向いて、唇を噛み涙を堪えていた。
「あの、いえ…… 僕は怒った訳じゃないんです。僕だって今夜は楽しかったし……」
「違うんです。私、本当に好きだったんです。奥さん居てもいい、でも、私は特別愛されているって…… だけど、彼にとっては大勢の中の一人でしか無かったんです。 凄く悲しくて、でも、こんな事よくあることで、彼に縋ったらきっと、面倒臭い女だと思われると思って…… 大人の女で居なきゃ、って…… ごめんなさい、こんな話……」
彼女は言葉に詰まり、子供のように泣きじゃくった。
悔しいけど、彼女の心の中には、まだ他の男が居る。彼女は他の男の事で泣いているのだ……。
きっと格好いい男なら彼女を抱きしめる事が出来るかもしれない……
でも、なんだか今の僕には卑怯な気がした。
僕は泣きじゃくる彼女の頭を恐る恐る撫でた……
彼女は益々泣き出してしまった。
「いいんですよ…… 体壊さない程度なら、いくら飲んだって泣いたって…… でも、僕の居る時にして下さい。悪い男は沢山いるんですから、連れてかれちゃいます」
僕は気の利いたセリフも言えない自分が情けなかった。
今はただ彼女が泣き止むのを、彼女の隣で待っていようと決めた。
いつまでも……
カラオケ店を出ると十二時を回っていた。
「雨宮さん、どうやって帰ります?」
神野が聞いた。
「私、歩いても十分位なので歩いて帰ります」
「こんな時間に一人は危ないですから、先輩送ってあげて下さい。僕達はタクシーで帰るんで。それじゃあ、おやすみ」
神野もかなり酔っている。
「凄く楽しかったね。又、飲みましょうよ。おやすみなさい」
美也もフラフラと神谷と帰って行った。
「家はどちらですか?」
僕は彼女に聞いた。
「西町の、ドラッグストアーの横のアパートです」
「えっ。一人暮らし?」
「はい!」
彼女はゆっくりと歩き出した。
歩道の縁石の上を歩いたり、手を広げたり、フラフラしている。
目の前に自動販売機が見えた。
「何か飲みますか?」
「はい!」
彼女はフラフラとベンチに座った。
「何がいいですか? 買ってきます」
「ホットコーヒーで…… すみません」
彼女の言葉に、僕は自動販売機へと向かった。
缶コーヒーを二本買うと、ベンチに座っている彼女に目を向けると、彼女は遠くを見つめ、悲しそう目をしていた。
僕は彼女の横に座ると、コーヒーを差し出した。
「女の子が、こんなに飲んでフラフラしていちゃだめですよ……」
「すみません…… ご迷惑かけて」
彼女は謝った。
「そうじゃないんです。そんなに飲んで歩いていたら、悪い人に連れて行かれちゃうと思って心配したんです……」 僕は慌てて言った。
「…………。」
彼女は僕と反対の方を向いて、唇を噛み涙を堪えていた。
「あの、いえ…… 僕は怒った訳じゃないんです。僕だって今夜は楽しかったし……」
「違うんです。私、本当に好きだったんです。奥さん居てもいい、でも、私は特別愛されているって…… だけど、彼にとっては大勢の中の一人でしか無かったんです。 凄く悲しくて、でも、こんな事よくあることで、彼に縋ったらきっと、面倒臭い女だと思われると思って…… 大人の女で居なきゃ、って…… ごめんなさい、こんな話……」
彼女は言葉に詰まり、子供のように泣きじゃくった。
悔しいけど、彼女の心の中には、まだ他の男が居る。彼女は他の男の事で泣いているのだ……。
きっと格好いい男なら彼女を抱きしめる事が出来るかもしれない……
でも、なんだか今の僕には卑怯な気がした。
僕は泣きじゃくる彼女の頭を恐る恐る撫でた……
彼女は益々泣き出してしまった。
「いいんですよ…… 体壊さない程度なら、いくら飲んだって泣いたって…… でも、僕の居る時にして下さい。悪い男は沢山いるんですから、連れてかれちゃいます」
僕は気の利いたセリフも言えない自分が情けなかった。
今はただ彼女が泣き止むのを、彼女の隣で待っていようと決めた。
いつまでも……