「きつそうだったら、俺らに頼っていいんだからね。抱え込まなくていいから」

俺がそう言うと、彼女はふふっと言って笑う。

「やっぱり東さんは優しい」

ーーどくん。




あ。

この瞬間、俺はずっと見たかった彼女の笑顔に心をさらわれた。
俺が結婚しているとか、子供がいるとか、そんなことすべて吹っ飛んでしまうくらいに。

気づけば俺は彼女の頬に触れていた。
彼女は何か言いたそうにしていたけれど、そんなこと全部知らないふりをして、俺は彼女の唇にキスをした。

今まで心の片隅にしまってあった彼女への気持ちが、すべて弾けとんで歯止めがきかない。
俺は何度も何度も彼女にキスをする。
無我夢中だった。

彼女は拒否をするよりも、むしろ俺を受け入れてくれた。

そしてその日から俺と彼女は不倫関係になった。