「松岡さんって話しかけにくい雰囲気があるんですよね。どこか一線を引かれている気がします」

その日の12時過ぎ、松岡さんと同期の新入社員、山田くんと食堂に昼御飯を食べにいった。
そして彼に彼女に対しての印象を尋ねるとそんな答えが返ってきた。

「じゃああんまり話したりしないの?」

俺はヒレカツを頬張りながら、彼の話に耳を傾ける。

「仕事のこと以外は全く話しませんね」

彼は深いため息をついてからそう話す。

「そうなのか…」

「でも松岡さん、東さんには何度も話しかけにいってますよね」

「そう?俺も仕事以外の話、彼女としないよ」

彼女が入社してからはだけど。

「松岡さん、東さんのこと尊敬してるんですね。さすが東さんです。もちろん僕もですけど」

「何いってるんだよ。調子いいなお前」

俺は調子のいい彼の髪をくしゃっとする。

やはりまわりからそんな印象がついているのか。
ちょっと彼女を気にかけてみるか。