「…」

私は黙ったまま、なにも言わずに口をつぐむ。

「もしかして、ナンパだと思ってます?」

「えっ」

図星で思わず声が出て、左手ですぐに口を塞ぐ。

「まあ、あながち間違いじゃないんですけど」

そう言って彼は悪戯に笑う。
子供っぽさが残った表情をする人だと思った。

「エレベーター来ましたよ。乗りますよね?」

私は黙ったまま頷く。
彼が先に乗ると、私は彼に続いてエレベーターに足を踏み入れた。