「・・・?」

さっきまで散々雨に打たれていたのに、急にピタッとやんだ。

下を向いて歩いていた私の視界にはまだ雨が降っている様子が見える。

「え・・?」

私は驚いて後ろを振り返った。

「・・・・!?」

「・・お前・・なにしてんだ?」

振り返ったその先にはお兄ちゃんが傘をさして立っていた。

相変わらずの涼しい顔に少し安心してしまった。


「何らしくねーことしてんだ。風邪ひいても得なことねーぞ」

変な憎まれ口を叩きながらもしっかり傘は私をカバーするように差し替えてくれていた。

「・・うん・・ごめん・・」

二人して雨に濡れながらトボトボと歩く。



「ねぇ・・お兄はさぁ・・あすかのこと・・好きなの・・?」

私は目線も合わせずにズバリなことを聞いた。

「なに言ってんだ、お前は・・」

やっぱ・・答えないか・・。


お兄ちゃんとあすかは今や正真正銘の恋人同士になっていた。

どうもあすかの押しに負けたっぽいところはあったけど、みているとお兄ちゃんの方もまんざらじゃないみたい。

教師と生徒の関係ではあるけれど、私はやっぱり親友のあすかを常に応援していた。

それは恋愛に対して臆病になってしまっていた私の『光』のようなあすかだったから・・。

お兄ちゃんのことを好きだと言うあすかはすごくかわいくて・・まっすぐに気持ちを伝えるあすかのことがいつもうらやましかった。


私とは・・まるで違う・・。


「・・・あいつはさ・・」

「え・・?」

お兄ちゃんが静かに口を開いた。