なんだろ・・。

私、いったい何してんだろ・・。

目の前で気持ちよく歌っている彼こそが私の恋人・・。

なのに昔付き合っていた人のことを想ってる・・。


今もそう・・裕紀を見ながら今ここにはいない諒のことを想っている。

封印した想いが日毎に溢れ出て・・止まらない・・。

諒に抱かれた記憶を思い出しては身体が火照る。

抱かれたい・・諒の腕に・・。


「オイ・・!」

諒・・。

「オイ!!沙都!!」

「え!?」

私は裕紀に呼ばれハッとして我にかえった。

「え・・!?何!?どうしたの?」

「さっきから呼んでんだけど?」

裕紀の顔が明らかに不機嫌。

ヤバい・・(汗)

私・・裕紀の歌、全っ然聞いてなかった・・。


「沙都・・お前なんかおかしいぞ・・?」

「そ・・そんなことないよ?」

私は内心動揺した。

今も心臓がバクバクいってる。


裕紀の顔もだんだんと変貌していく。

握っていたマイクすら手から離す。

私はそんな裕紀から目が離せずにいた。