どうして私はこんな男に未練があるんだろう・・。

私だけが本気で・・。

諒にはただの暇つぶし・・。


「じゃ・・私、帰ります・・」

私は乱れた服を整えて、床に投げ捨てたカバンを拾い、美術室のドアに手をかけた。



「沙都・・!」

諒が突然後ろから私のことを抱きしめた。

前にも同じようなこと・・あった。

そのときよりもはるかに強い力で・・私のことを抱きしめた。

壊れそうなくらい・・もういっそのこと壊してほしい・・。


「・・いや・・なんでもない・・」

そう言って私のことを解放した。

私は黙って美術室から出てドアを閉めた。


涙が・・流れる・・。

閉めたドアにもたれかかりながら天井を仰いだ。

背中に気配を感じる・・。

諒・・。

私たちはドア一枚を隔ててお互いの背中にもたれていた。


かすかに感じる諒の背中の気配に泣くしかできなかった・・。