諒とはあの別れの言葉を言われた日以来、一度も会ってなかった。

それが今、私の目の前にいる。

諒はあの別れについてひと言も触れない・・。

それがホッとする反面、妙に切なくて胸が締め付けられるような気もする。


本当に・・イヤだ・・。

つらい・・。


「あ、私教室に戻ります・・」

この場にいたくなかった私は席を立ち、美術室のドアまで歩いた。


「・・沙都・・!」


「・・・!!」

ドアに手をかける寸前に諒が私を呼んだ。

その声と同時に私の右腕は諒の手に握られていた。

私は一瞬、声もでないほどの衝撃をうけた。

ドアの方に向かっていた顔を諒のいる後方へ向ける。


私の瞳はすでに諒の瞳をとらえていた。


私と諒は目と目が合ったきり何を話すわけでもなくただ・・本当に見つめ合っていた・・。


「・・・!!」

私・・おかしい・・。

ドキドキしてる・・。

自分でも感じる、聞こえる、鼓動・・。

このままどうにかなっちゃいそうなくらい早い・・。

諒の目を見てるとすべてを思い出す。