私はスケッチブックに描いたラフをキャンバスにうつし始めた。

そうなると周りが見えなくなってしまうのが私の悪いとこだ。

なぜか没頭してしまう。

でも、やっぱり絵を描くのは楽しい・・。

なんだかとても静かな気持ちになれる。

まっすぐ、白いキャンバスだけをみて絵だけを描く。


ああ・・・ずっとこうしてたい・・。



「へぇーー、うまいもんだなーー」


・・・え・・?

私は聞き覚えのある声に反応して声が聞こえた後ろを振り返った。

「諒!!」

振り返った瞬間、瞳に飛び込んできた諒の顔に思わず大声で叫んでしまった。

「・・うるせーよ、オマエ・・」

「あ・・ゴメンナサイ・・」

・・・って何謝ってんだよ・・あたし・・(汗)


「・・・」


私はふと冷静になってみてバカらしくなった。

なに和気あいあいと和んでんだ・・?

それに・・周りをよく見渡すと誰もいない・・・。

そんな私の様子を見た諒は私を見下ろして言う。

「チャイム鳴ったの聞こえなかったのか?」

・・うそっ、いつの間に・・!?

だめだーー。絵描いてると夢中で何にも気付かない・・。


「沙都・・」