私の目指す美術室は最上階の4階にある。

音楽室も4階。書道はどこかの空きの教室でやっている。


「ねー、沙都ー。美術って今日から昨日新しく来たあの松浦先生じゃないー?」

「・・・そだね・・」

ハッキリ言ってそれこそが憂鬱のタネだ。

私もよりによって美術とか選択しなきゃーなー・・。はぁ・・。

「いいなー、沙都。私美術にしたらよかったかなー。かわってほしいよ、沙都とさー・・」

かわって欲しいのはこっちの方だ・・。

できるもんなら今すぐかわってやりたい!

いや、かわってちょーだいっっ!!


「なーーんてね。私はセンセイ一筋だもんっ、そいじゃーねー」

あすかは相変わらずお兄にメロメロな状態を私に報告しその場を去っていった。


いつの間にやら4階だ。

あすかは音楽を選択しているから美術室とは逆向きの音楽室に向かっていった。

そして私はイヤイヤ美術室へ向かった。


「・・・」


ああ・・イヤだイヤだ・・。

うっ・・胃がキリキリしてきたっっ。

目の前にはもう美術室。

後ろの方へまわりドアをそっと開けた。

まだ授業は始まっていないらしく諒の姿もない。

私はできるだけ教卓から死角になるような後ろの席に座った。

本当に美術が自由席でありがたいと思う。